日本小児科医会提言について
先日来、「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう」等の日本小児科医会による「『子どもとメディア』の問題に対する提言」について、コメントを求められることが多くなった。
子どものメディア漬けが深刻な問題であり、幼い子どもがテレビやビデオばかり見ている状態がよいわけはない。だが、授乳や食事の間にテレビがついていることまで問題とすることは行き過ぎではないか。極度のメディア漬けに警告を発しつつも、冷静な議論をすべきである。
また、これに関連して、「ノーテレビデー」を推奨する活動が、NPO法人「子どもとメディア」等によって進められている。これも、家庭や任意のグループで行うなら、実験として面白い。だが、茨城県東海村や宮城県では自治体がこれに近い運動を進めているという(「子どもとメディア」主催の「子どもとメディア全国フォーラム」での参加者の発言より)。メディアについては、子どもの自己決定を進める方向で努力がなされるべきで、単純に「テレビ・ビデオを見ないようにしよう」というのでは、テレビ局や教材会社への営業妨害とさえ言える。
「子どもとメディア全国フォーラム」では、「長時間メディア接触する中学生はそうでない中学生より体力が低い」といった調査結果が示された。しかし、メディア接触が短い中学生のほうに運動部に入っている中学生が多いと考えられるだけで、メディア接触が体力低下の直接の原因となっているなどとは言えないはずである。データが出ると新聞等はセンセーショナルに報道する可能性があるが、慎重に報道してほしいと思う。
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自分で補足ですが、私のコメントは、2月20日付朝日新聞等の記事の中で掲載されています。
Posted by: 藤川大祐 | 2004.02.26 03:43 PM