利他的な夢
今日、「キャリア教育」についてのインタビューを受けた。NPO法人企業教育研究会で進めている企業と連携した授業づくりは、非常に挑戦的なキャリア教育でもあるのだ。
こうしたインタビューで私は、「利他的な夢」という考え方について話すことにしている。(詳しくは『授業づくりネットワーク』2003年10月号、「基礎からの授業づくり入門」第7講参照)
学校や家庭で、子どもたちは将来の進路について、「あなたは何がやりたいの?」と問われる。だが、何がやりたいかがわからない子どもが多い。自分の中を探れば探るほど、何がやりたいかわからなくなる。
仮に、やりたいことが見つかったとしよう。でも、それがただ単に自分が好きなことという程度では、問題が生じる。その好きなことに向かおうとして歩み始めても、困難にぶつかると「やはり自分はこれがやりたいわけではなかった」と思ってしまうのだ。(典型的には、「子どもが好きだから」と教育学部に入った学生が、大学の授業で学校現場の難しさを知るとすぐに、「自分は教師には向いていない」と教師への夢を捨ててしまうということが多い。)
単に自分だけのために描く夢を、私は「利己的な夢」と呼ぶ。この「利己的な夢」はくじけやすい。必要なのは、「利他的な夢」である。すなわち、「自分は好きなことを通してどのように社会、他人に貢献できるであろうか」という問いに答えられるような夢である。
逆説的なようだが、企業にいる人たちには必ず「利他的」な面がある。顧客満足等々を考えなければ、どんな仕事も成り立たないのだ。子どもたちが企業の人たちに接し、「利他的な夢」を描けるようにすることが、NPO法人企業教育研究会の進める「キャリア教育」なのである。
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