環境教育で大切なこと
このところ、環境教育(エネルギーも含む)について話をさせていただくことが重なっている。
PTPという会社がNPO法人企業教育研究会と連携して、「エネルギー体感授業(エコエネ授業)」を展開している。子どもたちが自転車発電機をこいで電気製品を動かすことを通して、どんな製品がどの程度の電力を消費するかを、からだで理解していく授業だ。100W以上のテレビが短時間ならついたり、小型のドライヤーが実は1000Wもの規格で全然動かないなど、「電気」についての子どもたちの常識が裏切られる。
環境教育で重要なのことの一つは、「すべて節約」「すべてやめる」というような極論に走らず、実態に正確につかみ、戦略的に改善をはかることを学ばせることだ。「何もかも節電」ではなく、「無駄の大きいところで重点的に節電」ということが必要なはずである(「何もかも節電」など実効性がないのだ)。このために、エネルギー体感授業のような実践が必要である。
もう一つ、強調したいことがある。それは、「子どもたちの人数の多さを活かす」ことだ。10人の授業と100人の授業があったら、100人の授業のほうが効率が悪いと思う人がいるかもしれない。だが、100人なら最低10倍、互いの相乗効果があれば数十倍の成果が出てよい。たとえば、100人の子どもたちが手分けして地域の環境を調査して情報交換すれば、単に情報量が10倍になるだけでなく、互いに触発されて数十倍の「学び」が生まれるはずだ。
環境問題は、モノも人もエネルギーも、何もかもを無駄にしないという発想でのみ解決に向かう。10人でもできることを100人で行うような授業では、環境教育的ではないのである。
最後にひとこと。子どもたちに「今できること」ばかり強調する環境教育は、問題である。子どもたちが大人になる10年後あるいは20年後に何ができるかを考えさせることが、環境教育の課題であるべきだ。子どもがすぐに解決できることなど、そうない。長期的な視野で環境問題に貢献できるような大人になることこそが、子どもがすべきことなのである。
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