三浦展『ファスト風土化する日本』を読んで
私は企業やアーティスト等と連携した授業づくりを、さまざまな方々とともに進めている。が、今後のキーワードは「コミュニティ」だと考えている。学校はともすると、個人での学習ばかりを強調する。しかし、社会に出れば多様な人々が協力しなければ、何もできない。かつての地縁・血縁を中心とした共同体でなく、地域に基盤を置きつつも外部から来る者を歓迎するゆるやかな連帯の場としてのコミュニティが、これからの教育を考える上で大きな鍵になると考えている。私の研究室には、「コミュニティ・ダンス」や「祭り」を授業づくりに活かそうとしている学生たちがいる。また、大学近くで空き店舗を借りてインディーズ・ショップを実験開業している学生たちもいる。こうした学生たちの活動が、楽しみだ。
まちづくりやコミュニティづくりについて考え方を整理する必要があると思っていたところ、格好の本が出た。三浦展(あつし)さんの『ファスト風土化する日本』(洋泉社新書y、760円+税)だ。地方の画一化や消費社会化の問題を見事に示し、高円寺や下北沢や吉祥寺といった東京の街の面白さを説いている。コミュニティは「共同体」というより「共異体」として捉えるべきだという主張には、うなずかされる。この本は、これからの授業づくりを考えるための必読書だ。
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