ディベート、総合的な学習の時間、エネルギー問題
昨日、名古屋で行われた全国教室ディベート連盟東海支部主催の研究集会で、「『総合的な学習の時間』とディベート―エネルギー問題を授業する―」というテーマで講演をさせていただきました。このところ、企業教育研究会でエネルギー問題に関わる授業に取り組んでいることもあり、エネルギー問題とディベートと「総合」について、あらためて考えるよい機会となりました。
以下にレジュメの主要部分を貼り付けておきます。私としては、ディベートのリサーチでも、企業の人や研究者にインタビューしたり、発電施設を見学したりといった体験的な学習をもっと行い、切実さをもってスピーチができることが望ましいと考えています。
(以下、レジュメより)
1 「総合」では「未来」につながるテーマを
・「総合」は本来、「生きる力」を育むための時間
・深刻化するニート・フリーター問題(cf.山田昌弘『希望格差社会』筑摩書房)
・「やりたいこと」や適性検査では、「希望」は育めない
・「利己的な夢」から「利他的な夢」へ(cf.藤川編『企業とつくる授業』)
・「今できること」より「大人になってすること」を描く(例:10年後の国際貢献を考える)
・「知的好奇心」より「承認欲求」に訴える(自己肯定感を高めて未来に向かわせる)
2 大学教員の立場から
・自分の言葉で語れる学生が求められている
・通俗的な議論をくりかえすだけなら大学はいらない
・「何を言うか」より「どう言うか」が大切
・熱意があるなら、本の数冊は読んでいるはず
3 エネルギー問題を取り上げる
・エネルギー問題に「正解」はない
・「なんとなくの不安」と対決することの重要性
・まず必要なのは、エネルギーについて敏感になること(エネルギーを体感する)
・原子力への偏見は問題だが、リスク(特に周辺部分のリスク)への注意は不可欠
・「確認埋蔵量」を正確に捉える
・重要な「エネルギー効率」の視点
・自然エネルギーの根本は太陽光(効率よい太陽光発電が究極の目標か)
・エネルギーを「蓄える」ことの重要性(燃料電池も蓄電システム)
4 ディベートでエネルギー問題を扱う
・論題は「原発の是非」か(他に「サマータイム」「環境税」等もあるが)
・リサーチでは「読む」だけでなく「聴く」「見る」も重要(見学に行き、インタビューする)
・身体感覚を伴った議論をする
・リスクを学ぶには「もし…なら」と「大丈夫であることの根拠」に注目
・統計を鵜呑みにしない(cf.谷岡一郎『「社会調査」のウソ-リサーチ・リテラシーのすすめ』文春新書)
・授業はシナリオ方式で(『「まねる」ことの重要性 cf.全国教室ディベート連盟『中学高校 はじめてのディベート授業』学事出版)
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