東京都の3月17日付見解「東京都青少年健全育成条例改正案について」に対する見解(携帯電話関連)
3月17日付けで東京都青少年・治安対策本部が「東京都青少年健全育成条例改正案について」という見解を発表しました。(下記)
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/kenkai.pdf
この見解についての私の見解は以下の通りです。(携帯電話関連のみ)
<総論>
・青少年インターネット環境整備法との関係について、見解には「法施行後も、インターネット上のコミュニティサイトやプロフィールサイトなどの非出会い系サイトを通じて被害に遭う青少年が増えるなど、インターネットに関し青少年が被害者や加害者となる様々な問題が発生。」とあります。しかしながら、少なくとも警察庁による全国の手応系において、福祉犯については出会い系サイトに関わる犯罪認知件数は平成20年から21年で激減しており、出会い系サイトと非出会い系サイトそれぞれの合計件数を単純に合計すれば増加はありません。また、福祉犯のうちの重要犯罪認知件数は出会い系・非出会い系を合計しても激減しています。そして、犯罪認知件数の増減は、犯罪発生件数の増減との対応は不明であり、社会的な関心が高まっていることや警察が積極的に取り締まりを行っていることによって従来であれば認知されなかった犯罪が認知されたこともかなりあると考えられます。犯罪が増加しているから独自の規制をするという論理になっていますが、そもそも犯罪が増加しているという前提が成立していません。
(参考)平成21年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について(警視庁、2010年2月18日)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf52.pdf
<各点について>
「事業者が従うべきとの規定はなく」「自主的な取組を阻害することはない」「利用者がどのようなフィルタリングを選択するかとは無関係」等の記述が並んでいますが、青少年インターネット環境整備法にもとづく各主体の取組を尊重するのであれば、都が独自の条例を設ける必要はないはずです。なんらかの規定を設ければ、実質的には各主体の取組を制約するものになると考えることが当然で、制約する意図がなければ条例を設けること自体がおかしいことになります。特に、保護者や事業者への「調査」について税務調査並みの権限を与えるものではないとしていますが、関係者の同意の下に任意の聞き取り等を行うという程度であれば条例で定める必要はないはずです。
(以上)
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