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2011.10.14

ミニ講演「利得構造から考える学級づくり」資料

 本日、千葉市教育センターの研究協力員会「教師力に関する研究II」部会で、ミニ講演「利得構造から考える学級づくり」をさせていただきました。論文「教育方法における利得構造に関する考察―なぜ「まず次の行動を指示する」のか?―」の成果をもとに、小中学校の教員の学級経営に資する講演を、ということでお話しさせていただきました。

 以下が講演資料です。

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利得構造から考える学級づくり
                                             2011.10.14 藤川大祐

1.学級のルール

・教師の指示は、ルールとみなされやすい。(裁判の判例と同様)
・非明示的なルールは、子どもに理解されにくいことがある。(学級標語等の必要性)
・ルールのゆれは、子どもには「ひいき」「差別」と感じられることがある。
・厳しいルールでも、最初から定められていれば、子どもたちは納得して従いやすい。
・一定のルールを維持する教師は、子どもから信頼されやすいはず。他方、ルールが一貫しない教師は、子どもから信頼されにくい。

2.利得構造

・いかなる行動が報われ、いかなる行動が罰を受けるかという構造を、「利得構造」と言う。
・ルールを守ることが報われる傾向があれば、子どもはルールを守りやすいはず。
・ルールを守ることが報われなければ、ルールを守ることより報われることを目指す子どもが多くなる。
・子どもに報いることは、基本的に教師や他の子どもに認められることと考えられる。
・子どもを認めるやり方は、あからさまにほめることだけではない。
・寄り添うこと、丁寧に話を聴くこと、真摯に批判することも、認めることとなりうる。

3.同質性への圧力か、異質性の尊重か

・「多数派に従うことが報われる」という利得構造が、生じやすい。少数派は抑圧されやすい。
・「みんなで決めるべきこと」と「みんなで決めてはいけないこと」を区別する。
・同質であることを要求する集団では、互いの異質性を隠蔽する努力が必要となる。
・自分たちの同質性の幻想を維持するために、別の者を異質な者として排除しやすくなる。
・異質性の尊重が報われる利得構造をつくる。たとえ間違いであっても少数派の意見が授業で活かされる、単一の「正解」だけでなく別のアプローチが求められる、役割分担をしてチームで活動する等。
・「できないこと」への寛容と、個人が責任を果たすことの両立。

4.利己か、利他か

・個人が自分だけ報われることを目指すと、集団での教育でなく個人指導が理想ということになってしまう。
・学校外の社会では、利己的にのみふるまう人は報われにくい。利他的な人は応援される。情けは人のためならず。
・学級で利他的にふるまい、学級に誇りをもてることが、自らにとっても利であるという感覚を育てる。
・個々の子どもが、異質性を尊重し、利他的な目標のために努力することができるように、ルールを整備し、利得構造を構築することが、学級経営の核心ではないか。

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