アプリ「LINE」の青少年利用についての整理
何かと話題のアプリ「LINE」についてですが、青少年のスマートフォン利用について講演をすると多くの質問をいただきます。少し整理しておきます。(少し前にFacebookに書いたものを加筆修正しました。)
1)不特定多数の人と出会うリスクを大きく生じさせるのは、LINE IDによるつながりができることです。これについては、次のことが言えます。
・KDDIのAndroid端末の場合、LINEは利用者の許諾を得てKDDIから「18歳以上か否か」の情報を得て、18歳未満の場合にはLINE IDを作ることも、他者をLINE IDで検索することもできなくなります。ドコモやソフトバンクについてもこのしくみが今後導入される予定です。(KDDIやソフトバンクはすでにmixi、mobage、GREEにはこうした年齢情報提供を行っていますが、ドコモは提供予定の状態が2年以上続いており心配です。)
・他の場合、LINE IDを作らず、他者をLINE IDで検索しなければよいのですが、これは利用者がそう自覚し、必要な設定を行うしかありません。
2)自分からは「友だち」に登録していない相手についても、相手から自分が「友だち」に登録されている場合があります(基本的には相手の電話帳に自分の電話番号が登録されている場合)。そうなると、その相手からメッセージが送られることは可能であり(しかも自分からはその人を「友だち」に設定していなくても返信できてしまいます)、また自分の画面の「友だちかも」にその相手が表示されます。iOS版では「友だち」でない人からのメッセージには注意喚起の表示がありますが、Android版ではそうしたこともありません。
3)結局、現状では、LINEを使っているユーザーが知らない人とつながってしまうことを、設定だけで防ぐことはできません。以下のことをしなければならないようです。
・LINE IDを設定しない。…18歳未満の利用者が登録されているKDDIのAndroid端末であれば自動的にそうなっていますが、他の端末では自らそうするしかありません。
・知らない人のLINE IDを検索しない。…18歳未満の利用者が登録されているKDDIのAndroid端末であれば検索できません。他の端末の場合、オプションで検索させないようにすることは可能です。
・知らない人からメッセージが来たり、知らない人が「友だちかも」に表示されても、無視する。
4)次の点で、LINEの扱いは、次のように電話番号やメールアドレスの扱いと似ています。
・LINE IDは電話番号もしくはメールアドレスのようなもので、電話番号やメールアドレスを設定し、着信拒否をしていなければ、知らない人から連絡が来る可能性が生じるのと同様、LINE IDを設定すれば知らない人から連絡が来る可能性が生じます。
・他者の電話番号やメールアドレスを知れば連絡が取れるのと同様、他者のLINE IDを知れば連絡することが可能となります。
5)しかし、次の点では、LINEの扱いは、電話番号やメールアドレスの扱いとやや異なります。LINEについて何も教えていなくても、いきなりつながってしまうことが、直感的に理解しづらく、気味が悪く感じられるように思います。(慣れの問題なのかもしれませんが。)
・特にLINEに関してコミュニケーションをとったことのない相手からも、(相手が自分の電話番号を電話帳に登録することがあれば)いきなり相手からLINEでメッセージが届くことや「友だちかも」に表示されることがある。
6)LINEを仲間どうしの間で利用する際にも、次のようなことからトラブルになることがありえます。
・メッセージを相手が読んだら「既読」という表示が出るため、「既読なのに返信がない」状態が問題になり、「無視した」などということになりやすい。
・グループトーク機能があり、誰でもグループメンバーをグループから外すことが可能であるが、グループから外すことが仲間はずれとして問題になりやすい。また、誰が外したかがわかることから、外した人が悪者になることもありうる。
・他の人を「ブロック」することができ、ブロックしたこと自体がもめごとの原因になりうる。
LINEはこれまでの他のサービスとは異質で、利用者には一般的なネットリテラシーとはやや異なるLINEリテラシーが求められると言えます。さらに、commやカカオトークといった類似に見えるサービスについても、異なる点があり、整理する必要がありますね。
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