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August 2015

2015.08.27

真のフィルタリング利用率は23%まで急落している

去る6月16日(火)、自由民主党のプロジェクトチームに呼ばれ、青少年のインターネット利用の現状と課題についてお話をさせていただきました。その後、自由民主党からは提言が出され、国の政策にどのようにこの提言を反映させるかが検討されているようです。

2009年にインターネット環境整備法が施行されて以降、青少年のインターネット環境の整備の柱の一つが、フィルタリングの推進でした。内閣府「平成25年度青少年のインターネット利用環境調査」によれば、フィルタリングの利用率はピークとなった平成24年度は63.5%まで上昇していました(下図)。

Naikakufu25

ところが、平成25年度、スマートフォンが急速に中高生などに普及し、事態は一変します。上の図でも平成25年度のフィルタリング利用率は55.2%に急落しており、特にスマートフォン利用者については47.9%と低いことがわかります。

問題は26年度です。あろうことか、内閣府は調査方法を変えてしまい、経年変化ができない状態で調査結果を発表しました。「平成26年度青少年のインターネット利用環境調査」においては、機種ごとのフィルタリング利用率が発表されているのみで、以下のようになっています。

スマートフォン利用者 46.2%
携帯電話利用者 61.1%

スマートフォン利用者が50.0%、携帯電話利用者が20.3%なので、加重平均をとると、平成26年度のフィルタリング利用率は50.5%と考えられます。平成24年度から、63.5%→55.2%→50.5%と下落しているわけです。

しかしながら、これはなんらかのフィルタリング(あるいは機能制限)をかけているか、そもそもインターネットを使えないようにしているかの比率であり、十分なフィルタリングがかかっているかどうかは別です。スマートフォンの場合、次の三つをかけることで十分なフィルタリングがかかっていると言えます。

1)携帯電話回線にかかる「ネットワーク型」のフィルタリング
2)Wi-Fi利用時にも機能する「端末型」のフィルタリング
3)アプリに関するフィルタリングもしくは機能制限

平成26年度の内閣府の調査では、次のようになっています。

Naikakufu26

多くの人が1)はかけていても、2)や3)はかけておらず、三つともかけている人はせいぜい10%と言えます。これは、スマートフォン利用者のうちフィルタリングをかけていると回答した人の中での話ですので、インターネットが使えない設定にしている等の対応をしている人が1.8%いることも考えても、十分なフィルタリングをかけている人の割合は約7%と推定されます。
【2016年3月13日追記】インターネットが使えない設定にしている等の対応をしている人は0.6%でした。しかしながら、十分なフィルタリングをかけている人の割合を多めに推計していますので、この後の計算については修正せずにおきます。

とすると、十分なフィルタリングをかけている人の割合は、次のようになります。

スマートフォン利用者 7%
携帯電話利用者 61.1%

これで加重平均をとると、フィルタリング利用率は22.6%となります。

もちろん、平成24年度、平成25年度についても、十分なフィルタリングをかけている人の割合は少なくなります。これらの年にもスマートフォンのフィルタリング利用者のうち十分なフィルタリングをかけている人の割合を10%程度と考えると、それぞれの年のフィルタリング利用率は次のように推測されます。

平成24年度
スマートフォン利用者(全体の19.7%と推定) フィルタリング利用率 7%と推定
携帯電話利用者(全体の35.1%と推定) フィルタリング利用率 63.5%(機種別のデータがないため全体の率を採用)
加重平均 43.1%

平成25年度
スマートフォン利用者(全体の34.7%と推定) フィルタリング利用率 7%と推定
携帯電話利用者(全体の24.8%と推定) フィルタリング利用率 66.7%
加重平均 31.8%

以上のように、十分なフィルタリングをかけている人の割合は、43.1%→31.8%→22.6%と急降下していることがわかります。少し前までフィルタリング利用率は6割程度と信じられていたのが、十分なフィルタリングをかけている人の割合は実質2割程度にまで落ちているわけです。

青少年インターネット環境整備法が想定したフィルタリングの普及による安全な環境整備の枠組みは、すでに崩壊しているとさえ言えます。いじめや犯罪被害も増えていると考えられ、この状況をどうするのかが問われています。

国のいじめ防止体制が問われている

岩手で中学生が亡くなった事件への対応が問題になって以降、いじめ防止のあり方についていろいろと話題になっています。岩手の事件では、学校のいじめ基本方針に定められた対応がなされていなかったことが問題となっています。いじめはどこでも起きうるものですが、自殺などの重大事態に至るためには、いくつもの不幸な条件が重なるのが一般的であり、「どこかで誰かが何かをしていたら」重大事態は避けられたはず…ということになります。この意味で、学校がいじめ基本方針を定め、必要な策をとることは、重大事態に至る可能性を大きく減ずるものと言えます。一部の策が実施されなければ必ず重大事態が起こるということはありませんが、重大事態に至る可能性を高くしてしまいます。だから、不作為の罪は重いのです。

岩手の事件を受けて、文部科学省はいじめの調査をやり直すよう全国の学校に指示したとのことです。私はこうした文部科学省の動きには大いに疑問があります。夏休みが終わっていじめ防止も含めた指導が大変なこの時期に、学校に対していたずらに負担を増やしてどうするのでしょう。人事異動も卒業もあり、前年度の調査をやり直すにも限界があります。そして、過去の調査をやり直すことは、必ずしも現在の問題の解決にはつながらないので、対応する教員には徒労感が大きいでしょう。

いじめ防止対策推進法は、各学校が計画的、組織的にいじめ防止対策につとめることを求めている法律です。文部科学省が一律に何かをさせるのでなく、各学校が「こうすればいじめを防止できるであろう」と考え、自律的に対策を進めることを求めているはずです。文部科学省がすべきことは、各学校に対して一律に何かをさせることではなく、各地域・各学校のいじめ防止対策の体制を検討し、不十分な点があれば明らかにして改善を促すことでしょう。仮に多くの地域・学校でうまくいっていない部分があるのであれば、いじめ防止対策推進法の改正や国の基本方針の修正を検討すべきです。

そもそも、これまでのいじめ防止対策がうまくいかずに繰り返し同じような問題が生じていたのですから、文部科学省のいじめ防止対策がうまく機能していなかったわけで、いじめ防止対策推進法ができて以降、文部科学省だってやり方を変えなければなりません。このために、国にもいじめ防止のための組織を設置して、各地域・各学校のいじめ防止対策のあり方を検証し、必要があれば国の方針を修正するようにという提案をし、実際に文部科学省にいじめ防止対策協議会が設置されるに至ったはずです。しかし、残念ながらこの協議会は開催頻度が低く、今回のような事態があっても何の発信もしていません。

子どものためになるはずの学校で、多くの子どもがいじめに苦しみ、死に至る事態が続いています。自ら作ったはずの基本方針を遵守しない学校があり、文部科学省も的外れなことばかりしています。文部科学省はいじめ防止対策協議会がきちんと機能するようにし、各学校・各地域のいじめ防止対策の点検と国の基本方針の再検討を進めるべきです。国の担当者たちが本気で子どもたちのために働こうとしているのかが、問われています。

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