「考え、議論する道徳」に関係する教材のご紹介
小学校で2018年度から、中学校で2019年度から道徳が「特別の教科」化され、「考え、議論する道徳」を実践することが求められています。「考え、議論する道徳」を実践するためには、これまでとは異なる発想での新しい教材が必要と私は考えています。基本的な考え方については著書『道徳授業の迷宮』で、いじめと道徳との関係については著書『道徳教育は「いじめ」をなくせるのか』で、それぞれ詳しく論じていますので、ご参照いただければ幸いです。以下、私が開発に関わった教材をご紹介させていただきます。(随時更新予定、2018年8月3日更新)
○『みんなで道トーク!』(河出書房新社、全3巻)
小学生向け書籍シリーズ。友人に調子を合わせなければならないのか、暴力的な親を尊敬しなければならないのか、受験勉強を犠牲にして地域の祭りに参加するべきなのかといった小学生の悩みが漫画で描かれている。各話に小学生が選択を迫られる場面があり、「考え、議論する道徳」の教材としても使いやすい。河出書房新社のサイトから授業用の指導案やワークシートをダウンロードすることもできる。
・日本経済新聞記事
・産経ニュース記事
○「私たちの選択肢」シリーズ
千葉大学、敬愛大学、ストップイットジャパン、柏市教育委員会等で産学官連携で開発を進めているいじめ防止動画教材シリーズ。ドラマの終盤で主人公が選択を迫られる場面があり、そこで教室で視聴している児童生徒が選択を迫られ、抽選アプリでその後の展開が決まるという構成。いじめ問題に関する短い解説映像まで含めて授業で使えるようになっている。ラインナップは下記の通り。
エピソード1 脱いじめ傍観者教育(ストップイットジャパンがDVD付き冊子を無料配布中)
エピソード2 SOSの出し方教育(2018年7月記者発表、近日中に映像公開予定)
エピソード3 多様な性の理解に関する教育(2018年9月記者発表予定、その後DVD付き冊子配布予定)
エピソード2について
・プレスリリース
・東京新聞記事
・朝日新聞記事
・毎日新聞記事
○ボクたちの出来事シリーズ
文部科学省の「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」を受託して開発した動画教材。アクティブブレインズの協力を得て開発したもので、本書でも紹介している。動画の基本部分はサイトからストリーミング視聴可能としている。
なお、この教材に合わせて、ICTを活用して児童生徒の多様な意見を交流できるツール「AIAIモンキー」も開発されており、アクティブブレインズが学校等に有償で提供している。
○いじめについて考える架空事例教材
千葉県の市川市教育委員会からの依頼で作成した文章教材。200文字程度の文章に、いじめか否かが判然としない状況が描かれており、どうすればよいかをじっくりと議論できるようになっている。市川市では、地域住民が教育委員会主催の講座を受けた後、小中学校を訪れて担任教師ともにこの教材を活用した授業に地域支援者として参加している。数名のグループに1名ずつの地域支援者が入り、地域支援者が聴き役となって児童生徒の意見をじっくり聴くことを中心とした授業を行っている。教材全文を下記に公開している。
各話の内容は以下の通り。
・「チビ」という呼び名は? (小学校3・4年生向け)
・わすれ物が多いのは?(小学校3・4年生向け)
・「いじられキャラ」って?(小学校5・6年生向け)
・スマホアプリの仲間外れ?(小学校5・6年生向け)
・もう少し空気読みなよ(中学生向け)
・ツヨシじゃなくて、ツヨ子だろ(中学生向け)
・ケンカしても謝れない(小学生向け)
・なんで注意されないんだよ(中学生向け)
・一緒に遊ばないと(小学生向け)
・まとめられないのは誰の責任?(中学生向け)
なお、市川市教育委員会では同様の趣旨で藤川監修の小学校低学年向けのDVD教材「大切なのは?」も作成している。このDVDの市川市以外への配布はなされていない。
○「考えよう、ケータイ」シリーズ
ソフトバンクとNPO法人企業教育研究会が制作し、学校等に無償提供している情報モラルを扱った動画教材。ドラマを見るだけで児童生徒や保護者が話し合いたくなるように構成されている。指導案や関連資料もサイトで提供。2018年4月提供開始の最新作「みんなで考えよう、スマートフォン」の内容は以下の通り。
1 予期せぬネットトラブル?
2 動画配信の罠?
3 スマホトラブル、うちの子だけは大丈夫?
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