流山市だけではない、教委等の法令違反のいじめ対応(報じられた主なもの一覧)
流山市教委の法令違反かつ不適切ないじめ対応についてですが、当ブログの記事にいただいたコメントによれば、昨日流山市内で行われたタウンミーティングには井崎市長や後田教育長が出席され、いじめ対応についても話題になったようです。流山市のサイトを見ると、市内2ヶ所で、子育てや教育をテーマにしたタウンミーティングが実施されたようですね。報道機関の取材にはなかなか応じてくださっていない市長や教育長が、お逃げになることなくこうした場に出ていただき、市民の方々と対話をされたことは大変ありがたいです。
まだ昨日のタウンミーティングの記録はアップされていませんが、当ブログにいただいたコメントによれば、市長も教育長も法令違反や不適切な対応を反省したり謝罪したり様子は示されていないようです。せっかく市民の方々に見解を出していただける機会に、このように責任逃れの印象を与えてしまうのは残念なことです。
特に問題なのは、後田教育長がおっしゃったとされる「最終報告を待つ。しっかり見極めて対応する」という言葉です。最初に事案が発生してからすでに5年が経過しており、平成29年12月と今年5月に2回にわたって中間報告書が提出されています。これらの中間報告書では、最終報告書を待つことなく必要な対応をとるよう求めて来ました。29年12月に教育長に中間報告書を手交させていただいた際にも、教育長は最終報告書を待たずに対応していただけることに合意していただけたと考えておりました。
仮に昨日の後田教育長の発言が事実だとすると、法令違反や不適切な対応について最終報告書が出るまで何もしないという姿勢は、単なる指導課の担当者の態度ではなく、トップの教育長が定めた市教委としての公式の方針ということになります。このことのもつ意味は大変重いです。というのは、中間報告書を提出したのは、市教委が任命した委員によって構成される流山市いじめ対策調査会であり、その調査会から求めた「最終報告書を待たない対応」について、任命権者である教育長が明確に否定したことになるからです。市教委自身が定めた流山市いじめ防止基本方針では「いじめを受けた児童等の救済を最優先に考え、いじめを行う児童等の行為を止め、関係機関と連携して指導します」とありますが、最終報告書まで対応しないという態度が「児童等の救済を最優先に考え」る態度と言えるはずがありません。そもそも、最終報告書が出るまで再発防止策を検討してはいけないとか被害者を支援してはいけないなどという規定はどこにもないのですから、躊躇なくできることをすればよいはずです。
後田教育長をはじめとする市教委の「最終報告を待つ」という態度は、被害者への二次被害を生じさせています。被害者は今も被害とその後遺症に苦しんでいます。中間報告書が出れば、市教委は必要な対応をとってくれると期待していたはずです。何かしようとしてもそう簡単には進まないでしょうが、後田教育長はじめ市教委は「最終報告を待つ」として、当面何もしないことを宣言してしまっていることになります。このことは、中間報告書の提出後の動きにわずかな希望を抱いていたはずの被害者をさらに深い絶望へと突き落とすことになります。そもそも、被害者が最もつらかったことは、平成29年夏の段階で、重大事態認定後の調査が4ヶ月以上も、調査会への委託すらなく進んでいなかったことだと聞いています。すでに、この問題の最大の加害者は市教委となっているのであり、後田教育長の「最終報告を待つ」という態度は、市教委による被害者への「いじめ」を重ねる態度なのです。
この問題を発表させていただいてから明日で1週間となります。いじめ問題に関わっておられる国会議員や県議の方々からは発表直後にご連絡をいただき、その後も動いてくださっています。国や県でもこの問題を受けた動きが出てくるはずです。流山市の市議の方々も、遠慮なく連絡をくださればと思います。昨日の記事で後田教育長にお尋ねしたいことをまとめてありますが、市教委の対応のどこがどのように問題があり、どのような質問をすれば問題が明らかになるか、何を求めるべきか等、意見交換させていただければありがたいです。
流山では、法令違反や不適切な対応があり、指摘されてもなお態度を改めない教育長はじめ市教委の方々の態度が被害者に二次被害を与え続けているわけですが、「流山だけの問題ではない」とお感じの方も多いと思います。実際、報道されている例は多いので、以下に競りしておきたいと思います。
○取手市教委(茨城県) 平成27年11月に中学生が亡くなった事案で、保護者が独自調査の結果を提出しいじめ被害があったことを訴えたにもかかわらず、市教委は教育委員会議で重大事態でないと違法な議決を行いました。本件については、文部科学省の指導等があって市教委は議決を覆して重大事態と認定し、県に調査を委託しました。今年3月に県が設置した調査委員会が調査報告書を提出し、これを受けて取手市いじめ問題専門委員会が再発防止策案を策定、現在、再発防止策案についてのパブリックコメントを募集しています。私は本件を受けて取手市が条例で設置した取手市いじめ問題専門委員会の委員長をつとめさせていただいています。なお、市教委や学校の関係者には、市や県から停職や減給といった懲戒処分がなされています。
○川口市教委(埼玉県) 中学生がいじめ被害を訴え自殺未遂をしていたにもかかわらず学校や市教委はなかなか重大事態と認めず、ようやく重大事態として調査委員会を設置したものの、被害者側にはこうしたことを伝えず、聴き取りも行いませんでした。いじめ防止対策推進法第28条第2項では重大事態調査にあたっては被害者や保護者に情報を適切に提供すべきことを定めており、法令違反だと言えます。週刊文春の記事によれば、高校1年となった被害者が「教育委員会は、大ウソつき」という遺書を残して今年9月に自殺しました。
○吹田市教委(大阪府) 平成27年から29年にかけて小学生が暴言や暴行のいじめ被害を受け骨折や心因性の視力障害などを負った事案について、市教委や学校は1年半にわたって放置。日経新聞の記事によれば、被害者の両親は市教委の対応について「何度も足を運んだのに取り合ってもらえず、つらく悔しい思いをした。何のための組織なのかと思った」と強く批判しています。しかも、朝日新聞の記事によれば、市教委は第三者機関による調査を拒否していました。
○神戸市教委(兵庫県) 教員カレー「いじめ」事件が話題となっている神戸市教委ですが、児童生徒のいじめ被害への対応についても問題ある対応が報じられています。第一に、平成28年10月に中学生が亡くなった事案で、いじめ内容を記した調査メモが隠蔽され、関係者が懲戒処分されています(産経新聞の記事)。第二に、いじめを苦にして尼崎市の中学校に平成30年に転校した生徒の被害について重大事態としての調査を行わず、その生徒が今年8月に亡くなっています(神戸新聞の記事)。
○仙台市教委(宮城県) いじめ自殺案件が複数回報じられている仙台市では、平成30年11月に小学校2年生へのいじめを苦にして、母親が被害児童と無理心中したことが報じられています。この案件では、死亡後に学校が被害児童の欠席日数を計30日から28日に訂正したことが判明しており、重大事態にしないために欠席日数の操作が行われたのではないかと指摘されています(河北新報の記事)。いずれにしても、いったんは30日とカウントされていたのですから重大事態としての対応がなされるべきでしたし、30日はあくまでも目安ですから28日であっても重大事態としての対応が検討される必要があったと考えられます。
他にもあるかもしれないのですが、私が現時点で把握している最近の事例は以上です。他の事例をご存知の方はぜひお知らせください。
なお、昨年3月、総務省が「いじめ防止対策の推進に関する調査〈結果に基づく勧告〉」を公表しています。この中には重大事態の調査にさまざまな問題があることが示されています。たとえば、重大事態調査結果の被害者や保護者への情報提供を行っていない事例は回答のあった37教委のうち6教委に見られます。保護者への情報提供を行っていない理由は下記の通りであり、認識不足を挙げている県教委が1、市教委が1あることがわかります。この市教委では該当する重大事態が11件もあり、そこで被害者側に情報提供が行われていないのはどういうことなのか、(そしてこの市教委がどこなのか)気になります。
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