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教育全般

2019.11.22

大学入学共通テスト 今からでも「混合戦略」に舵を

【この記事は、2017年5月29日の教育新聞に執筆したものです。大学入学共通テストのあり方が問題になっていますので、編集部の協力を得てここに転載します。】

◇厄介な新たなゲームが始まる◆

本紙電子版5月16日付(紙版5月22日付)は「大学入学共通テストで方針案 国語と数学で記述式問題例」の見出しで、16日に公表された大学入試センター試験に代わる新たな試験の実施方針案について報じている。

同テスト(仮称)は平成33年度入学者選抜から導入予定で、現在の中学校3年生が大学入試を受けるときから適用される。高校等では来年4月から新入試を想定した指導を行う必要があるので、具体的な問題のあり方に注目が集まるところである。

だが、公表された記述式問題例からすると、厄介な新たなゲームが始まろうとしているといえそうだ。

国語の記述問題例は、回答が求める文字数が20字以内、35字以内と非常に短い。採点基準には基本的に中間点がなく、条件を全て満たしていれば正解、一つでも満たしていなければ不正解となっている。従って国語の記述問題では、解答者がそれぞれ自分なりに具体例等を入れながら説明したり、完璧ではないなりに途中まででも説明したりといったことは認められない。点数をとるには、自分なりの工夫をしようとは考えず、求められている要素を無駄なく入れ込んだ回答を書くしかない。

数学の問題例では、記述問題が限定されている点に注目したい。多くの問題は従来のセンター試験と同様に、マークシートで1文字ずつ数字や記号を入れていくものである。記述問題は、不等式や等式を用いて変数の範囲や変数同士の関係を示すもの、変数の値を場合分けして示すものだ。数学で記述式といえば、結論に至る道筋を説明し、論理の飛躍なく適切に説明しているかが問われるはずだが、示された問題は、結論だけを書かせ、途中の道筋については全く評価されない。

結局、示された問題例はかなり無理をしてなんとか記述式といえる問題をつくったものと考えられ、結果的に、これまで記述式問題として考えられていたものとは大きく異なる新たな種類の問題をつくってしまったといえる。文科省は、今の中3以下に対して、大学に入りたければこの新たなゲームで高い成績をとれるようにせよと言っていることになる。

◆求められる能力とは無関係になる◇

こうした問題例が特殊なゲームとなっているのは、大学1年生を対象に実施されたモニター調査実施結果からもうかがわれる。国語では記述問題全体の正答率が33・1%、数学では記述式だけをとると23・8%と低い。中には、国語では3・0%、数学では5・6%と低い問題もある。回答した大学生は「幅広い学力層からなる」とされており、それでも正答率が1割に満たないのは、問題がかなり特殊なゲームとなっているからとしか考えられない。

記述問題の導入は、国語では思考力・判断力・表現力を評価するためであり、数学では「数学を活用した問題解決に向けて構想・見通しを立てること」に関わる能力を評価するためであるはずだ。だとすれば、中間点を一切つけず、いくつかの条件を満たした回答であるか否かだけを評価するような問題は合わないはずである。このままでは、各教科で本来求められるはずの能力とは無関係に、共通テスト特有の問題に対応するスキルの習得のみを求めることになってしまうだろう。そうした特殊なスキルは、おそらく大学入学後に使われることはない。全国の若者に、他で使えない特殊なスキルの習得を強いるのは、近い将来の国力を大きく低下させることになりかねない。

なぜこうなってしまったのか。それは、思考力・判断力・表現力等の能力を全国一律のペーパーテストで問おうとするからである。思考力・判断力・表現力等は、現実の問題解決の文脈で発揮される能力であり、現在の技術では低コストで評価するのは不可能である。無理に問題を作れば、思考力・判断力・表現力等とは異なる能力を評価するものにしかならない。

◇純粋戦略では手詰まり状態に◆

ゲーム理論に「混合戦略」との概念がある。プレーヤーがいつも同様の手を選ぶのでなく、複数の異なる手をある程度ずつの割合で組み合わせて使う戦略だ。どういう戦略が有効かが分からない状況では、同様の手ばかり使う「純粋戦略」は大勝ちする可能性がある一方、大負けするリスクが高い。だから、先行きが不透明な状況では「混合戦略」をとり、状況に応じて複数の手を使う比率を修正していく。それが、大負けを防ぐには最善である。

今後の大学入試では「純粋戦略」でなく「混合戦略」がとられるべきなのだ。

大学入試は多様であってよく、一定の条件下で各大学が複数の異なるタイプの入試を実施し、状況をふまえて改善を続けるという方向に、今からでも舵を切るべきである。

2017.09.17

日本教育工学会第33回@島根大学 発表資料

9月15日(金)から9月18日(月)まで島根大学で開催の日本教育工学会第33回全国大会ですが、一部プログラムが台風接近による悪天候のため中止となりました。

取り急ぎ、中止になった部分を含め、私たちが関係する発表の資料を順次掲載いたします。

P1a-20
小学校家庭科の被服分野を題材としたゲーム教材開発
◎遠藤 茜,長田 卓也,シスワン マユリ,田中 敦実,潤間 築(千葉大学)
抄録  発表資料

1a-603-01
企業を交流先とした小学校社会科における「子育て支援の願いを実現する政治」の遠隔授業の試み
◎小池 翔太(千葉大学),堀江 敦子(千葉大学/スリール)
抄録  発表資料

P1p-20
ネットいじめにおける脱・傍観者の視点を取り入れた授業プログラムの開発と分析
 選択と分岐を取り入れたドラマ教材を活用して
◎山本 恭輔(千葉大学),阿部 学(敬愛大学),藤川 大祐(千葉大学),谷山 大三郎(ストップイットジャパン),佐和 伸明(柏市教育委員会),青山 郁子(静岡大学),五十嵐 哲也(名古屋大学)
抄録  発表資料

P1p-48
ソーシャルメディア社会に対応した高等学校芸術科「音楽Ⅰ」における創作授業の実践と考察
 知的財産教育とメディア・リテラシーの体得的な学びを目的として
◎飯島 淳(千葉大学)
抄録  発表資料

P2p-27
確率についての探求活動を促進する授業開発
 ゲーム教材「Dice game」を題材として
◎古林 智美(千葉大学)
抄録  発表資料

P2p-29
授業というゲームにおけるプレイヤーたちの態度に応じた授業分類の試み
 バーナード・スーツの「ふざけ屋」・「いんちき屋」・「荒らし屋」論をたよりに
◎伊藤 晃一(千葉大学大学院)
抄録  発表資料

2a-201-08
教員一人一人のカリキュラム・マネジメントに向けた実践的研究
 分析・改善を意識した組織的な取り組み
○古谷 成司(富里市教育委員会)
抄録  発表資料

3a-604-02
動画教材と意見分析ツールを活用した道徳授業プログラムの開発
○藤川 大祐(千葉大学)
抄録  発表資料

以下、順次掲載します。

2017.04.30

日本における年齢別生存期待率予測(平成27年現在)

日本では乳幼児の死亡率が近年かなり低くなっている。これ自体とてもよいことなのだが、小さい子どもを亡くす経験をしている人が少なくなっており、小さい子どもを亡くした人のつらさがなかなか理解されにくくなっているという問題がある。

試みに、現代の日本人が一定の年齢まで生きられる確率はどれくらいなのかを計算してみた。平成27年の各年齢の死亡率を計算し、この年齢別死亡率が今後も変わらないと仮定した場合に、一定の年齢まで生きられる確率がどれだけであるかを検討したものである。厳密さを欠いている部分はあるが、年齢別の生存期待率は次のようになった。

(生存期待率=出生者のうち各年齢終了時点で生存が期待できる者の割合)
0歳   99.80%
10歳 99.67%
20歳 99.50%
30歳 99.09%
40歳 98.47%
50歳 97.08%
60歳 93.70%
70歳 85.94%
80歳 68.78%
90歳 31.87%
100歳 1.98%

100人生まれたら99人は30歳まで生きられる。50歳を過ぎると生存期待率は下がるが、80歳まで生きられる人が70%近い。乳幼児だけでなく50歳くらいまでは死亡率が非常に低いということがわかる。

もちろんこれは平成27年の状況による計算なので、大震災等で多くの人が亡くなるようなことがあれば、状況は大きく異なってくる。

詳しくは、以下のグラフとExcelファイルを参照のこと。

Seizon


「seizon.xlsx」をダウンロード

2015.04.10

ヨミウリ・オンライン藤川連載「ゼノンの逆説~教育の今を読む」スタート

読売新聞のサイト「ヨミウリ・オンライン」で、教育に関するコラムを連載させていただくことになりました。

連載タイトルは「ゼノンの逆説~教育の今を読む」。「今、教育をめぐる状況は絶え間なく動いている。私たちは動いているものをとらえ、その動きをよき方向へと変えていくことを求められている。古代哲学者ゼノンが言ったとされる「飛んでいる矢は止まっている」という話は、「ゼノンの逆説」と呼ばれる。このコラムでは、ゼノンのように、動いている教育の一瞬一瞬をとらえて、ささやかな方向修正を試みたい--。」というわけです。

教育に関する言説は、ともすると単純で極端になりがちです。このコラムでは「逆説」を前面に出し、できるだけ軽い文体で、教育の両義性やデリケートさを読み取ってもらえるようにしたいと考えています。短くてすぐ読めるものなので、お読みいただければ幸いです。

▽ゼノンの逆説~教育の今を読む
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/special/CO015131/

2014.08.25

成績がよい子どもは総じてリア充〜全国学力・学習状況調査を読む

 全国学力・学習状況調査の報告書が公表されました。言えることは、点数が高い子どもは総じてリア充である、ということです。朝食を毎日食べ、規則正しい生活をし、家の人とコミュニケーションをとり、自尊感情や規範意識をもっているわけです。家庭環境が安定していて、気持ちよく生活している子どもたちは、学習時間を確保でき、成績もよいのです。

 なお、興味深いのは、テレビ・ビデオ・DVD(ゲームを除く)の時間についてで、最も成績が高いのは「全く見たり、聞いたりしない」ではなく「1時間より少ない」であることです。全く見ない人は2〜3時間の人と同じくらいの成績です。一概に、メディア接触時間が少ないほど成績が高いとは言えないのです。メディア接触時間ゼロという人はそもそも少ないのでしょうが、安定した家庭ではメディア接触はほどほどということなのかもしれません。

 もちろん、家庭の状況だけで成績が決まるわけではなく、学校の教師の指導法も大きいようです。発表や話し合いの機会が多く、教師からよいところを認められ、学校に行くのが楽しいという子どものほうが、成績が高くなっています。これは、個々の要因が成績を押し上げているというより、授業に熱心な先生がいて、その先生とうまくやっている子どもは、成績が高い傾向があるということでしょう。一方向の因果関係でなく、成績が高いからこそ、教師にも認められ、学校が楽しくなるという関係もあるはずです。

 ということで、家庭でも学校でもよい状況の子どもは成績が高く、その子どもの成績がよいことで家庭や学校での状況もよくなるというように、正のスパイラルが描けていると全面的にハッピーであり、逆に負のスパイラルになってしまうと家庭でも学校でも恵まれず成績も悪いという状況になると考えられます。

 課題は、リア充と好成績のスパイラルには入れない子どもを助けることです。家庭や学校で条件に恵まれない子どもを支えることや、成績がふるわない子どもが家庭や学校でさらに悲惨になることがないようにすることが、必要ということではないでしょうか。

 今回、携帯電話やスマートフォンの利用時間と成績との関係が取り上げられており、この件で取材を受けました。「スマホなどの利用時間が長いと成績が低い」ということなのですが、スマホの利用時間と成績との相関関係を、因果関係と同一視してはなりません。スマホの利用時間が長いということは、子どもが家庭(や学校)で非リア充だということでしかないと考えられます。リア充と好成績の正のスパイラルに入れない子どもが、学習時間を確保できず(あるいは学習から逃避して)、あいた時間でスマホなどを使っているにすぎないと考えるべきでしょう。

2014.05.10

ちば生涯学習アカデミーで講演しました

 本日2014年5月10日(土)、千葉市生涯学習センターの「ちば生涯学習アカデミー」で「社会とつながる教育〜実践事例から〜」をテーマに講演させていただきました。受講生の方々が大変熱心に聴いてくださり、質問も多く出していただきました。こうした方々が、地域社会で生涯学習の担い手となっていただけることを期待しています。
 今回は、教育学研究者として私が取り組んでいることについて、具体例を入れつつも俯瞰的に話してみようと考えました。以下に資料を掲載しますので、よろしければご覧ください。

資料はこちら

Chiba_academy_2

2013.12.13

「地域を知る・地域とかかわる」資料

本日の授業「地域を知る・地域とかかわる」の資料は、こちらです。

2013.10.04

日本教育方法学会第49回大会発表資料

 10月5日(土)、6日(日)の両日、埼玉大学で開催される日本教育方法学会第49回大会(会場:埼玉大学)にて、「危機管理理の発想によるいじめ対策プログラムの検討 ―リスク要因に着⽬目した教員研修及び授業実践の開発―」というテーマで研究発表を行います。5日(土)14時〜14時30分、A210会場にて発表の予定です。

 発表で使用するプレゼンテーション資料はこちらです。(発表中に誤字が見つかりましたので、修正版を10月5日16時20分、掲載しました。)

2013.06.26

「学校と教育」2013年6月26日講義資料

 本日6月26日(水)の授業「学校と教育」の講義資料をアップします。
 受講者以外の方が見てくださってもかまいませんが、授業で話すための資料であり、基本的に補足説明が必要なものです。無断転載をご遠慮いただく等、取り扱いにはご注意いただくようお願いいたします。


「gakkyo2013a_ijime.pdf」をダウンロード

2013.06.02

第1回JEES教育シンポジウム「授業力をつけよう,若手教師たち!~若手教師を育てるしくみづくり~」藤川発表資料

 本日、椿山荘にて、第1回JEES教育シンポジウム「授業力をつけよう,若手教師たち!~若手教師を育てるしくみづくり~」を開催しております。藤川の発表資料を掲載いたします。

「JEES01.pdf」をダウンロード

より以前の記事一覧